【解説】上場とは

株の流通性

前回は株そして株式会社というものについてご説明しました。

今回は、株式の流通性、そして上場というものについてご説明したいと思います。

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株というものは、一般的には誰にでも買える、つまり流通性があると思われているかと思います。しかし、株式会社だからといって、べつに株を誰にでも買えるようにする義務はありません。身内だけで株を保有しててもいいし、自分の知らない人は買えないようにしておくことも可能です。

なぜそのようなことをするのかというと、株を自由に流通させると、良くないこともあるからです。株を不特定多数の人に買ってもらうことのメリットは、まさに広く多くの人から資金提供を受けることができる、ということにあります。しかし、不特定多数が株主になるということは、どこの誰とも知らない人が自分の会社に物申す機会を与えることにもなります。これはデメリットであると言うことができます。株主は会社のオーナーですから、取締役などの会社役員よりも立場は上です。したがって、会社の経営方針に口を出せますし、大量の株を保有すれば、役員をクビにすることすらできてしまいます。自分で育て、自分で経営してきた会社を、どこの誰とも知らない人に乗っ取られるなんてこともありうるわけです。

なので、株式会社でありながら家族経営で、株を保有しているのは親族のみ、といったような会社も普通にあります。ただ、もちろんそういう場合は株が流通しないので、資金を多く集めるという本来の株式会社としての意味の多くは失われてしまいますね。

一般に広く知られた有名な株式会社は、上記のリスクを承知の上で、基本的に誰でも会社の株を買えるようにしています。それは、多くの資金を集めるためという理由ももちろんありますが、何よりも次に説明する「上場」をするためには、かなり多くの株が流通していなければならないからなんですね。

上場とは

よく「東証一部上場会社」なんて耳にすると思います。これは、東京証券取引所(東証)の一部というランクに上がった会社という意味です。

まず、証券取引所というのは、証券市場(株式市場)の審判のような存在です。

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株式市場というのは、多くの人の財産が動く、非常に重要な場です。金銭同様、相当に厳しいルールをもってして取り締まらなければいけません。誰かが不正に株価を釣り上げたり、色んな悪いことをして他人の財産を奪うことができてしまうようでは、誰も株式市場に参加しないでしょう。誰も株式市場に参加しないと、株式会社は資金を集めることができず、会社は発展できず、経済は停滞するでしょう。資本主義社会にとっては致命的なことです。ライブドアの事件で非常に厳しい制裁があったのは、記憶に新しいかと思います。

そこで、もちろんまずは法律で厳しいルールを作った上で、証券取引所という株式市場の審判役を置いたのです。また、株取引を証券取引所に集中させることにより、誰もが容易に株式市場に参加できるようにする、という目的もあります。株式会社は証券取引所の決めたルールに誠実に従う義務があるのです。

では、その証券取引所に上場する、とはどういう意味なのでしょうか。

これは、簡単に言うと、ちゃんとした会社であるという太鼓判を押してもらう、ということです。

日本には約100万社を超える株式会社があると言われています。しかし、上場している会社は4000社弱、1%も存在しません。必ずしも全ての会社が上場したいと思っているわけではありませんが、上場したくてもその条件に達していない会社が沢山あるわけです。条件は東証のホームページに載っていますので、興味のある方は見てもらえればと思いますが、色々な面でかなり厳しい条件が課されています。ちょっとした規模では、到底一部まで上場することなどできません。

これだけの厳しい基準をクリアし、上場すると、会社にとって最も重要である信用というものを得ることができます。東証の厳しい基準をくぐり抜けた、優秀な会社であるということを、堂々と世の中にアピールすることができるわけです。ですから、上場というのは、会社にとって重要なステータスなんですね。

学歴で例えるなら、「私は東大生です!」と言っているようなものでしょうか。あくまでも例えなので、べつに学歴が全てと思っているわけではないですよ。ただ、世間一般的に、東大というステータスは、将来性や成長性を感じるものですよね。それと似ているかもしれません。べつに上場していない会社の株を買うこともできますけど、どうせならちゃんとした会社の株を買いたいと思いませんか?

しかも、上場会社は、上場しただけで満足できるわけではないのです。上場会社であるというステータスを維持するためには、さまざまな東証の要求をクリアし続けなければなりません。中でも重要なのが、会社情報の開示です。上場会社は、必ず会社の重要情報(つまり株価に影響を与えるような情報)を定期または臨時に公表しなければならず、こうしたルールを守っていないと、上場廃止に追い込まれることもあります。

例えるなら、証券会社という審判は、その試合の参加者たる株式会社に対し、公正でオープンでスポーツマンシップにのっとった試合をさせるべく見張っているわけです。そのおかげで、我々観客は、安心してその試合を観戦し、好きなチーム(会社)を応援することができるというわけです。

なお、上場といっても、一部、二部、新興市場など様々な場があり、それぞれ条件が異なりますが、やはり一部上場が最上位のステータスのようです。ただし、だからといって一部上場の会社がその他の会社よりも稼いでいるとは限りませんし、一部上場の株が必ず上がるというわけでもありませんので悪しからず。

以上が、かなり大雑把ではありますが、上場についての説明です。

ちなみに、最初にお話しした「株を流通させることのデメリット」の部分を補足しておきますと、多くの上場会社では、信用できる会社と株をお互いに持ち合い、互いに誰にも売らないことを約束するなどして、知らない第三者に自社の株を買い占められないように対策をとっています。

 

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、次回はいよいよIPO株の説明に入っていきたいと思います。

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